別に勿体ぶっていたわけではないのですが、介護費用の負担を減らす方法で最も一般的に使われるのが今回ご紹介する「世帯分離」です。
簡単に言うと「世帯を分ける⇒所得区分が変わる⇒自己負担限度額が下がる⇒費用負担が減る」こんな仕組みです。なぜ世帯を分けると所得区分が変わるのかということですが、まずはコチラの「高額介護サービス費」の欄をご覧ください。
仮に現役世代と同居していたら、現役並み所得者区分となるでしょう。利用者の負担上限額は4万4400円。仮に自己負担を4万円していたら、まだ枠内です。ところが世帯を分離して市民税世帯非課税となったらどうでしょうか?上限額は2万4600円なので、差額の1万5400円分負担が軽くなります。これが世帯分離のパワーです。
ではなぜ出し惜しみみたいなことをしていたのかというと、ミクロの視点で見ればメリットの方が大きいですが、マクロの視点で見たときは???だからです。
というのも、国民健康保険料の負担が発生するから。今まで子世帯の健康保険の被扶養者扱いだった人は、「世帯を分離した=生計を一にしていない」ことになったのですから、自分で社会保険に入るのは当然ですね。
国民健康保険料=所得割+資産割+世帯割+均等割 となっています。これがもし毎月1万5400円を超えてしまったら無意味ですね。また仮に保険料負担がそこまで増えなかったとしても、子世帯の扶養から外れて、子世帯の扶養控除が使えなくなりますから、それが子世帯の所得税や住民税の負担に跳ね返るのは必須です。
目先の利益にこだわって世帯全体で損失を発生させる可能性があるのが、この世帯分離。生半可な知識で動くと、後悔しますよ。